「ねぇ、ちゃーん」
「なに?」
「つまんなーい」
「・・・・・」
「え、なに、無視?つめたーい御幸くんショックぅ」
「うるさい!誰のためにこんなことしてやってるとおもってんのよ!」
の腰に手をまわして甘えるような言葉をいってみればぐるんと此方を振り返りキッと睨みつけたと思ったら怒鳴られた。怒ってる姿も可愛いよ、なんて言ったら頭をはたかれた。
の顔はどんどん険しくなっていく。まさに『ウザイ』という言葉をそのまま表情にしているような感じ。まぁ、当たり前っちゃ当たり前だ。こいつは今俺のために台所に立って料理をしてくれてるんだから。
お昼なに食べようか?コンビニ弁当?・・・・の手作りがいいなぁ・・・なんて冗談をいってみたら「しょうがないなぁ」と呆れた顔をして台所に向かい準備をはじめた。まさかほんとに作ってくれるとは思わず少し驚いた。すげー嬉しいけど。
馴れた手つきで野菜を切っている姿をみていたらなんだか一人で新婚な気分になって、後ろ姿を眺めているだけではつまらなくなり、ちょっかいを出してみた。
「今日うちの両親がいないからって調子のるなよ変態」
「調子にのる?それは一体どういうことか言葉だけじゃわからないよ」
「なにあんた殺されたいの(シャキン)」
「(包丁むけやがった!)・・・すいませんでしたー」
「謝るぐらいなら早くその腰に回してる手をどかしなさいよ」
「どうして」
「動きづらいでしょ。料理しづらい」
「えー、俺のそばにずっといないと寂しくて死にそうなんだもーん」
「死ねば?」
「あーあ。そんなことばっかりいって、俺がいなくなったらほんとは悲しいくせに」
「ちょっ、」
包丁をにぎっていたの手を掴み、覆いかぶさるように背後から抱きつき、反応をみる。いつもは強い口調でいろいろ言ってきたりするけど、抱きついたりちゅーしたりすると途端に大人しくなって顔を真っ赤にする。ほら、今だってこんなに真っ赤になって固まってる。
可愛くて愛しすぎて思わず笑いそうになってしまう。後ろから唇に手を伸ばしそっと親指でそこを撫でるとピクッと小さな体が動く。力が抜けたのか、右手から包丁がするりとまな板に落ちた。
「包丁落としたら危ないじゃん」
「・・・誰のせいだと思って・・・」
「誰のせい?」
そのまま手を唇から顎に移し、の顔を真上にグイっとあげて、俺は顔は真下に向ける。目があったと思ったらすぐに逸らされた。照れてる。かなり可愛い。そんなちょっとしたことも好きで好きで好きで・・・「好きだよ」
そっと唇をおとすとまた、小さな体が反応した。ちゅーしただけなのにね。そんなに涙目になられたら俺どうしたらいいかわからなくなっちゃうじゃん?
唇をはなしてぎゅっと抱きしめたら足を踏まれた。地味な痛さが響いた。
「あんたのせいで料理する気うせた」
「じゃあしなくていいよ」
「やだよ、私お腹空いたもん」
「俺は料理よりがほしいからしなくていいよ」
「なにそれ気持ち悪い」
「は俺のこといらない?」
「知らない・・・」
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