私はこの日から、奴の印象が最大限に悪くなった。顔はいいくせに女たらしでおまけに性格悪いのなんのって。野球ではすごいらしい(私野球のこと詳しくないからよくわかんけど)野球がすごくて顔がかっこいいからってなんだっていう話だ。私は一生こいつのことなんか好きにならないと確信していた。
 大 嫌 い だ っ た か ら 




今日の私は最悪にツいてなかった。昨日の夜英語の宿題をし忘れて、気づいたのが夜中。でもまぁ、明日は私の当たる番じゃないしー、と思って単語すら調べなかった。そんでもって今日朝学校着たら偶然、今日英語の授業で当たるはずだった子が風邪で欠席していた。ので、経緯はわからないが突然私に順番がまわってきた。(くそ、あいつやすみやがって!)なんにも手をつけていなかった私は勿論先生にこっぴどく叱られた。そして、次はお昼の時間。売店でパンを買った。私の大好きなメロンパン!早く教室帰って食べたいーとルンルン気分でいたら友達がふざけて私の背中を突然おしてきた。その拍子にパンは手から転げ落ちて目の前にいた1年生の男子生徒にグシャリ。見事踏まれた。男の子はめちゃくちゃ謝ってくれた。が、しかし、メロンパンはこれで最後の1個だった。もうあるはずがない。ちくしょー!泣く泣く並びなおして仕方なく人気の少ないレーズンパンでお昼をすませた。私のメロンパン・・・(←まだひきずっている)
そして今!今が一番最悪。友達と帰りにパフェ食べたいねって話になってファミレスよったんだよ。大好きなプリンパフェ食べて幸せな気分にひたって、今日の災難はこのプリンパフェを食べるための試練だったのかぁってちょっとじーん!ときちゃったりしてた訳ですよ。あーそうだ、そういえば授業中他校の友達からかメールきて返すの忘れてたなぁ・・・て鞄の中から携帯とりだそうとしたら、あれ?あれれ?携 帯 な い ん で す け ど !私の携帯は何処へ?記憶を辿ってみた。・・・授業中にこっそりメール打とうと思って鞄から取り出して携帯開いた瞬間に先生がこっちによってきて、やっべー!て思って机の中に突っ込んで・・・・そのままか!なんで放課後までメールの返信するの待てなかったんだ自分。なんで机に入れてたこと忘れたんだ自分。うーわー。ってことでわざわざ学校まで戻って携帯を取りに来たわけです。学校からあのファミレス遠いのに本当面倒くさい。
さっさと携帯持って家に帰ってゆっくりしたい、ということしか頭に無かった。教室のドアに手をかけたとき教室内から喋り声が聞こえてきた。あれ、誰か残ってる?そう思いながらも気にせずに教室のドアを思い切り開けた。教室に一歩足を踏み入れて、目の前に飛び込んできた光景に唖然とした。開けなきゃよかったと後悔の二文字を覚えることになった。


「あれ、じゃん」
「み・・・ゆき・・・?」
「だぁれ?」
「同じクラスの奴」
「そっ、」


御幸が教室にいたんだ。知らない女の先輩と一緒に。抱き合ってたんだ、うん、てか今も抱き合ってる。私一体どうすりゃいいんだこの状況!あああああ入る前に誰がいるのか確認しとけばよかった私の馬鹿。目をキョロキョロと泳がせて戸惑っていると、女の先輩は「これじゃ続き出来ないね」と、御幸のそばから離れると、自分から御幸にキスをして「またね」と笑顔で教室をあとにした。御幸もにこにことしながら手を振っていた。てか続きってなんですか!?経験の少なすぎる私には刺激が強すぎて、色々な妄想が頭の中を巡りに巡っていた。


なにしにきたの?」
「うえっ!?ああああ、あの携帯忘れたからとりきただけ!」
「あーそー」
「今の先輩彼女?すんごいめちゃくちゃスーパー綺麗な人だったね!はっはー」
「お前テンションおかしい」
「・・・・かな・・・・?はは」
「いっとくけどさっきの彼女じゃねーよ」
「え」
「だから彼女じゃない」
「は・・・?だってさっき・・・」
「高校生2年生の御幸くんはまだまだ遊びたい盛り、ってね」
「アソビタイサカリ?」
「お前なに人だよ」


こいつはついに頭がおかしくなったのかと思った。遊びたい盛り?なにそれ、つまり本気じゃないってこと?しかも笑顔で平然としてそんなこと・・・。同じクラスだし何回も喋ったことあって、こいつ面白くていい奴とか思ってたのに私って人の見る目なさすぎ?どこがいい奴?最低じゃん。私が御幸に対する見方がこの瞬間で180度ぐるりと、それはもう勢いよくぐるんぐるんに回転した。


「そんなあからさまに引いたような顔すんなよ」
「いや、実際引いてるし」
「うわーショックー」
「私携帯とりにきただけだから!グッバイ少年☆」


とにかく早く教室から出て行きたくて、てか御幸と離れたくて、自分の席に向かって携帯を机の中から取り出した。御幸の顔を見ないでこのまま何も話をしないで立ち去ってやろうと早足に教室から出ようと携帯をぐっと握り締めてスタンバイした。いくぞ! 3、2、いt・・・・


「なぁ」


呼び止められたぁぁぁぁぁあ!!!

しかもいつの間にか後ろいたよ。ちっか!変な汗を手にかきながら、携帯を握り締め、「なんですか」とあくまでにっこりと爽やかに対応してみせた。御幸からは返事が無い。いい加減顔が引きつりそうなんですが。てか近くでみるとやっぱこいつの顔やっぱかっこいいよねぇ。かっこいいけど、なんかどんどん近づきすぎてないか?あれ、待ってちょっと、近い近い近い近い近いちk(ry)逃げたくても逃げられなくなっていて(御幸が私の後頭部固定してるー!)体が硬直して、手が知らないうちに震えていた。私のファーストちゅーがこいつに奪われるもう駄目だ!ギュッと目を瞑ると、全然唇にもなんにも感触が伝わってこなかった。え、あ、あれ?ゆっくりと目を開けると御幸がじっと私の顔を見つめていた。途端にカッと顔が熱くなるのを感じた。


って経験ないんだ?」
「は?」
「顔真っ赤。おもしれー」


結局御幸はなにもせずにそれだけいうと教室から出て行った。情けないことに腰をぬかしてしまった私は床にベタリと座り込んだ。なんなの、なんなのあいつ!?かっこいいからって、野球ができるからってあんなことしていいと思ってんの!?手の中でなっている携帯をみることすら忘れるほど、この時の私は動揺しきっていた。

そしてこの日から私はあいつのことがだいきらいになった。