目の前にいるがいつもと違った。理由は髪の色。昨日まではそれはそれは明るい茶髪だった。なのに今日になって急に黒髪。一体どういう心境の変化だ?


「昨日まで茶髪だった不良少女がなに優等生ぶって黒髪にしてんだよ」
「不良少女いわない!えっとね、先週雑誌読んでて珍しく黒髪のモデルさんを発見したのよ!最近茶髪ばっかだから逆にすごい目立ってて綺麗だなぁって思って。ちょっと清楚系目指そうかなって!」
「ヒャハハ!お前が清楚系?柄でもねーこというなよ」
「ちょっとあんた人のこと馬鹿にしすぎ・・・」


とは言ったものの実は黒髪のをみたとき少しドキッとした(って、俺なに少女漫画みてーなこと言ってんだよ気持ち悪ぃ!純さんかっ)実際茶髪より黒髪の方が似合うとパッと見思った。でもコイツに似合うとかそんなこと口が裂けてもいえねぇ!言ったら「惚れた?」とかすぐにニヤニヤしながら言ってくるから。そういうこと易々いうんじゃねーっつーの。


「でもさでもさ、少しは似合うなーって思ったでしょ?」
「思わねぇ」
「えー、私黒髪悪くないと思ったんだけどなぁ・・・」


長い髪をいじりながら口を尖らせて不満そうな顔をしていた。ブツブツとなにかを呟いて深いため息までつきやがった。おいおい、目の前でそんな落ち込まれても困るんだけど。自然と眉間に皺のよった俺の顔を、同じく眉間に皺をよせているが上目遣いに見てきた。のが背小さいから上目遣いになるのは当たり前なんだけど・・・俺はこの上目遣いに弱い。まじで可愛いとか思っちまう。


「そんな似合わないと思う・・・?」
「あ・・・・?あぁ・・・」
「ふーん・・・」
「なんだよ」
「いや別に〜。ただ御幸はかわいいって言ってくれたのになぁって思って」
「は?あいつが?」
「そう。朝グラウンドから私の姿見えたらしくて朝練おわってから即行『黒髪かわいい』ってメールくれたの。なのに倉持には不評みたいねー」


御幸の奴いつの間に・・・!てか御幸がなんでとメールしてんだよ。聞いてねーよ。急に苛々してきて仕方が無くなった。


「なにお前、御幸のこと好きな訳?」
「は?なんでそういう話になんの」
「お前が御幸にかわいいって言われて嬉しそうにしてるからだよ」
「そりゃ、女の子は誰だってかわいいって言われれば嬉しくなるもんでしょ。そんなこともわかんないの?女心全くわかってなんだねバカ持!」
「うっせー!わかりたくもねーよアホ女」
「あー女の子にアホってゆったー。いっぺん死んで来い」
「死・・・・!?」
「もう倉持なんか知らない。 最 低 」


最後の2文字を力強く吐き捨てるとは鞄をもって教室から出て行った。授業はこれから2時限目にさしかかろうという時間帯なのに俺との喧嘩が理由で、帰った・・・のか?あいつ?訳わかんねーよ!小さく舌打ちをして自分の席に座り込むと、御幸がどこに行ってたかしらねーけど教室に帰ってきた。俺の近くに来た早々ニッと嫌な笑みを浮かべてきた。ムカツク。


「っんだよ」
、黒髪かわいかったなぁー」
「あ?」
「お前素直じゃないからといつも喧嘩すんだよ」
「・・・るせー」
「あーあ。倉持君はだめだねぇ。女心がわかってない」
「っるせーよ!!」


と同じこといってんじゃねーよ。ますます苛々がつのってきた俺は、この苛々の原因がなんなのかは分かっていたけど、認めたくないっつーか、やっぱ素直になることができなくて、この日は一日中調子くるったまま終わった。全部のせーだ!


***


「おはよーバカ持」
「テメーだからその呼びか・・・た・・・」


その呼び方すんじゃねー!と怒鳴ろうと息を吸い込んだまではよかった。の姿を見るまでは。は俺の目の前で仁王立ちで立っていた・・・のは別に驚くことじゃねぇ。問題は髪型と髪の色。昨日まで黒髪のロングだったの髪は今日はショートになっていて、しかも茶髪に戻っていた。


「なに驚いた顔して固まってんの?」
「だってお前、髪・・・」


思わずの髪を触るとの顔が少し赤くなったように見えた(つかの髪すげーやらかくてすげーサラサラ。今更気づいた。)はまた、昨日みたく眉間に皺をよせて俺を上目遣いでみてきた。これには相変わらず弱い。そして髪を触っていた俺の手を叩き落とすようにしてどけると、ビシリと人差し指で俺をさしてきた。叩き落されたときの音といったら半端ないもので叩き落された手はじんじんと痛んだ。こいつひでぇー!


「言っとくけど、あんたのせいでこの髪型にしたんだから」
「は・・・?」
「倉持が・・・黒髪似合わないってすごい馬鹿にするし、清楚系なんて柄じゃないってゆーから・・・だから真逆にしたの!」
「は??」
「これなら似合うって言ってくれる!?」
「は!!??言ってること訳わかんねー」
「なんでっ。似合うかどうか聞いてるだけじゃん」
「そんなん御幸に言ってもらえばいーだろうが」

「俺じゃ駄目だもん、なぁ?


嫌な奴の声に似てるなと思いながらも反射的に振り返ってしまった俺の目に、嫌な奴が映った。あからさまに嫌そうな顔をしていたのか、俺の顔をみた瞬間「そんな顔すんなよ」と笑顔で言うと肩を軽く叩いてきた。こいつのこういうとこすげームカツク。てかこいつ自体すげームカツク。


「あ?どういう意味だよ」
「ちょ・・・、御幸!」
「はっはっは、あそこまで言ったんだから全部言っちゃえばいいじゃん」
「いや、それは・・・・」
「なんなんだよ、お前等」
「いや、だから・・・・」
「はっきりしろよ」
「いや、その・・・・・」
「苛々すんだけど!!」
「まぁまぁ、倉持君。そう怒鳴らないであげてくださいな」
「うぜーよお前」
「ひどいなぁ」

「つか2人して何なんだよ。は御幸のこと好きなんだろ?だったら御幸だけにほめられてればそれでいいんじゃねーの?なんで俺にそんな似合うかどうかとか聞いてきたりすんだよ。俺がほめてやったりしても意味ねーじゃん」


つい苛々して、認めたくなかった現実を言葉に出してしまった。だって2人はどう考えたってあやしいだろ!?2人は顔を見合わせて、「は?」というような顔をしていた。そしてそのまま俺へ視線を向けてきた。なんでそんな顔してこっちみんだよ。俺も訳が分からずつられて同じような顔になる。なんだこの状況?と思っていたところで御幸がぶはっ!といきなり吹き出した。訳わかんねーよ!


「お前勘違いしすぎ!」
「は?」
は絶対俺のこと好きじゃないから」
「なんでそんなこと言えんだよ?実際お前等メールだってしてるし、は御幸に黒髪ほめられたーってすげー喜んでたし」
「だからさ、俺とメールしてたのも黒髪にしたのも全部お前のためなんだって。だろ、
「うぉいっ!御幸!!」
「????」
から自分の口で説明してやれ。倉持訳わかんなくなって混乱してるみたいだから」
「あああああああ!もうしょーがないなぁ、ほんとにバカ持くんにはなにも分かってなかったんだね」
「バカ・・・・って、またテメーは」

「あのね、私と御幸がメールしてたのは、あんたと御幸いつも一緒にいるから御幸だったら倉持の趣味とかわかるんじゃないかと思って色々な情報聞きたくてメールしてただけ。それで、髪型とかかえたら倉持も少しは私のこと女の子として見てくれるんじゃないのかと思って、どんな髪型が倉持は好きそうか御幸に相談したの。そしたら倉持は案外あー見えて黒髪の清楚系が好きなんじゃないかって御幸が言ってたから黒髪にしてみたら・・・・バカにされただけだったし」


頭の回転が悪い俺にはがなにを言ってるのかとか理解するのに相当の時間がかかった。頭の中で整理をしてみる・・・・・つまり、これは、あれか、俺のため・・・ってこと、か?いや、でもまて!早とちりとかだったらすげー恥ずかしいぞ。御幸は御幸でにやにやしながら俺等の様子を伺っていた。気持ち悪ぃんだよ!の顔は今までにみたことないぐらい真っ赤になっていた。駄目だ訳わかんねー!


「ここまで言ってもまだ分かってくれない!?」
「・・・・混乱してる」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「そんなため息つくなよ!?」

「あーもう、ストレートに言っちゃうね」
「?」

「私はあんたが好きなの」

「え・・・・」
「・・・・・・」
「あー・・・・」
「まだ分かんないの!?」
「そんなバカじゃねーよ!!」
「倉持ものこと好きだもんなぁー」
「てめ・・・・」
「違うの?」
「・・・・・・ちがくねーけど」
「え?」
「俺ものこと嫌いじゃ・・・ない」
「うっわー素直じゃない告白。かわいくなーい倉持君!」
「っるせー!てめーはどっか行ってろ!」
「え、なに、倉持も私のこと好きなの?」
「あー・・・・まぁ、そういうこと」
「うっそ・・・・」
「こんなんで嘘つくほど人間腐ってねーよ」


の顔がさっき以上に真っ赤になって俯いていた。やべ・・・まじ可愛いんだけど。俺もなんかつられて照れくさくなって、の方をみないまま頭を撫でてやった。やっぱこいつの髪すごい柔らけぇ・・・。


「俺さ」
「ん?」
「お前の黒髪実は似合ってたと思ってた」
「・・・・・」
「んだけど・・・」
「今更?」
「え」
「今更それいう!!??」
「だ だって」
「ありえないんですけどー!!」

「いや、でも、今の髪型も似合うと 思う から」
「え、ほんとに」
「ほんとに」
「じゃあいいや」
「(いいのかよ)」









黒に囚われて、